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独りディズニー、京都を再現する、東京ディズニーリゾートが齎す「観光・旅行の本質」とは

独りカラオケ、独り焼肉、独り映画……若者を中心に広まりつつある「おひとりさま」だが、その中でも一際異彩を放つ「ツワモノ」こそ、「独りディズニー」だろう。

東京ディズニーランド・シーといえば、家族連れやカップル、友達集団が寄って遊びに来ることが大概であるため、独りでこの場所を訪れることは一見ハードルが高いように見える。

然しながら、ディズニーパークに入れ込む者たち、言わば「ディズニーオタク=Dオタ」の一派は、寧ろ喜んでこれを行うのだ。一体そのような偏屈な楽しみ方はどこから生まれるのか、今回は日本が誇る名観光地「京都」から紐解いていきたい。

かく言う筆者もまた「独りディズニー」を楽しみ、Dオタを自称する一人であるが、筆者個人の経験や主観もある程度交えながら、「独りディズニー」とは何なのか、そして「観光・旅行の本質」とは何なのか、考えてみよう。

 

 

独りでディズニー、何してるの?

そもそも、独りディズニーに行く人々は一体何を楽しんでいるのか? 多くはショーやパレード、時にアトラクション、食事をしたり買い物をしたりするだけのゲストも多い。そして、彼らの多くは年間パスポートを所持しており、何時でもパークに入ることが出来るため、一日中そこにいるわけではない。そこで、「独りディズニー」のイメージがこれとしてイマイチ浮かんでこない読者のために、年間パスポートを所持しておらず1dayパスポートでパークに行くため、一日中パークにいることの多い私個人の「独りディズニー」スケジュールを紹介しよう。

2020/01/23・東京ディズニーシー
08:39 東京ディズニーリゾート到着

10:00 開園・インパーク

10:02 ソアリン:ファンタスティック・フライトFP*1取得(12:55-13:55)

10:06 ソアリン:ファンタスティック・フライト(50分)

11:02 海底2万マイル(35分)

11:58 マゼランズ

12:07 センター・オブ・ジ・アースFP取得(14:55-15:55)

13:26 ソアリン:ファンタスティック・フライト(FP)

14:15 シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ(5分)

14:30 マジックランプシアターFP取得(14:40-15:40)

14:41 マジックランプシアター(FP)

15:27 センター・オブ・ジ・アース(FP)

16:40 タワー・オブ・テラー(50分)

17:50 ユカタン・ベースキャンプ・グリル

18:25 ファンタズミック

18:50 海底2万マイル(5分)

19:00 閉園

19:17 退園

この日の開園時間は10時、閉園は19時だった。

何よりポイントとなるのは、好きな場所に、好きなように、好きなだけ居ることが出来る点

例えば、2019年7月23日にオープンした新規アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」や筆者イチオシの「海底2万マイル」を、筆者は二度体験している。別日の例では、「海底2万マイル」を7回とか、「インディ・ジョーンズ・アドベンチャークリスタルスカルの魔宮」を8回という日すらある。因みに後者「インディ・ジョーンズ~」はシングルライダー制度を利用しており、おひとりさまゲストを乗り物の空席に穴埋めのように優先的に案内してくれるシステムを利用して叶えた経緯がある。

又、「マゼランズ」とはPS*2の必要なレストランであり、コース料理を提供してくれる。ランチの最も安いプラン「アトランティック」を注文、約4,000円の代物である。「センター・オブ・ジ・アース」のFP発券はスマートフォン上で可能であったためそれを行ったが、最終的に店を出るまで1時間程レストランに居たことになる。

14:15に体験の「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」から「マジックランプシアター」迄、その後時刻表に載っていないがマーメイドラグーンを散策するまでに1人、加えて16:40の「タワー・オブ・テラー」から「ファンタズミック!」迄の間、丁度同日にパークに来ていた友人と共に行動をしていた。

そして最後、東京ディズニーシーはこの日19時に閉園していたが、その閉園直前に体験していたアトラクション「海底2万マイル」のクルーにお願いをして、アトラクションの待機列、キューエリアを見せてもらうことに成功している。案内してくれたクルーさんとも少しばかり雑談をさせて頂き、既に閉園して疲弊しているだろうにも関わらず非常によくしてもらった。

改めて、独りディズニーの魅力のひとつ、間違いないものは「何よりポイントとなるのは、好きな場所に、好きなように、好きなだけ居ることが出来る点」である。

若し、友達が「スリルのある乗り物は乗りたくない」と言い出したら、「センター・オブ・ジ・アース」には乗車出来なかっただろうし、彼女が(いないが)「もう帰ろう」とでも言い出したら「海底2万マイル」に申し訳なくも長く居座ることは出来なかったはずだ。家族で来ていたら「お金がないから」と「マゼランズ」で食事を取ることは出来なかったかもしれないし、そもそも「時間が惜しいから」とポップコーンやチュロスなどのワゴンフードで満足していたかもしれない。シングルライダーも利用を渋ることになるだろう。更に好みによっては、反対のことも起こりうるかもしれない。

他の人の例も紹介してみると、多くのDオタはひとつのショーを鑑賞するために3時間も前から場所取りをしたりする。他にも、アトラクションに乗らずに写真を撮り歩いたりなどする。多くの場合、それは友人や恋人が居る以上同意が得辛い行為だ。

このような「連れがいることで生じる不都合」に対抗するために、Dオタは「独りディズニー」を楽しむのである。

こうした楽しみ方が前提にあった上で、「独りディズニーってなんだか恥ずかしい」とか「どうしても楽しそうに思えない」とか、そういった想定される問題点について、次の章では特徴的な「とある」切り口から迫っていこう。

 

金閣寺のキーホルダー」問題

日本は京都に位置する観光施設もとい文化財として「金閣寺」はあまりにも有名だ。室町時代の建築物の代表例で、観光地としての京都を訪れたなら外すことのできないスポットである。

この金閣寺には、様々なストラップやキーホルダーが販売されている。それだけではなく、京都の観光区域全体でこの「金閣寺」を含む寺院・神社のイメージを強調したお土産展開を行っており、ホテルや旅館に行けば大概見かけるものである。

然し、ここで誤解を恐れずにひとつ問いたい。その問いとは……

 

「正直、金閣寺のキーホルダー、必要? いらなくない?」

 

うん、うん、みんなの言いたいことはわかる、必要だよね、そうだよね。

ただ、筆者が問題にしているのはあくまで「金閣寺のキーホルダーを手元に置いておきたいか否か」ではなく、「手元には置いておきたい」という前提を支える理由である。

私はこれを「金閣寺のキーホルダー問題」と名付けている。

端的に、金閣寺のキーホルダーを手元に置いておく場合、その理由として考えられるのは

金閣寺、キーホルダー、或いはその造詣の何らかに関心がある

②キーホルダーの背景にある「購入者」「購入場所」「購入時期」に関心がある

この二択であり、

第一の理由「金閣寺、キーホルダー、或いはその造詣の何らかに関心がある」とは、正にその通りである。金閣寺のどこかに惹かれていたり、キーホルダーを集める趣味があったり、はたまたキーホルダーの製造会社に興味があったりするかも知れない。この場合「金閣寺」や「キーホルダー」の物品そのものに必要性がある。

第二の理由「キーホルダーの背景にある「購入者」「購入場所」「購入時期」に関心がある」とは、例えば、「友人と旅行に行った際に購入した」とか「旦那が出張先から買ってきた」とか、こうした物体そのものへの関心ではない、その背景に対する必要性を認めるものである。前者なら「思い出」に対する必要性や「友人」に対する必要性、後者なら「旦那」に対する必要性などが認められるだろう。然し、その場合それが「金閣寺」でも「銀閣寺」でも「清水寺」でも「龍」でもいいのであるし、「キーホルダー」でも「ストラップ」でも「タオル」でも「クリアファイル」でも、極論どれでもいいことになる。あくまで「物品の背景に関心が認められる」場合に於いての話だが。

こうしてみてみると「キーホルダー」が欲しい」ことは必ずしも条件でないことがわかる。ちなみに「キーホルダーが欲しい」という理由の場合も、「金閣寺」である必要性は存在しない。「キーホルダーが欲しい」という理由を後押しするのが①②のいずれかであると解釈が可能だからだ。

 

東京ディズニーリゾートで京都を再現する

東京ディズニーリゾートは、京都とよく似ている。

京都の神社・寺院に「建てられた経緯」や「建物の歴史」があるように、東京ディズニーリゾートの建物も「建てられた経緯」や「建物の歴史」が設定されている。

宝亀9年(778年)、大和国興福寺の僧で子島寺で修行していた賢心(後に延鎮と改名)は、夢のお告げで北へ向かい、山城国愛宕郡八坂郷の東山、今の清水寺の地である音羽山に至った。金色の水流を見出した賢心がその源をたどっていくと、そこにはこの山に篭って滝行を行い、千手観音を念じ続けている行叡居士(ぎょうえいこじ)という白衣の修行者がいた。年齢200歳になるという行叡居士は賢心に「私はあなたが来るのを長年待っていた。自分はこれから東国へ旅立つので、後を頼む」と言い残して、去っていった。行叡は観音の化身であったと悟った賢心は、行叡が残していった霊木に千手観音像を刻み、行叡の旧庵に安置した。これが清水寺の始まりであるという。

(Wikipedia清水寺」項目より)

 

 

楽しいグッズでお部屋をかざろう!

店主マーセリンの大好きなドールハウスからそのまま飛び出したような品々が並ぶ店内にはインテリア雑貨やテーブルウエアなど、お部屋をコーディネイトできるグッズがいっぱい!毎日の暮らしを楽しくするたくさんのグッズを取りそろえてお待ちしています。

(東京ディズニーリゾート公式ホームページ、東京ディズニーランドのショップ「ホームストア」項目より)

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ドールハウスからの夢を


私はミズーリ州の小さな町からきました。私の名前と同じマーセリンというその町はカンザスシティーとシカゴを結ぶ鉄道が通る、こぢんまりした町です。幼い頃の私は、大きな街に向かって走る列車を眺めてばかりいました。私には、たくさんの家具や雑貨を積んだ列車の様子が、まるで大好きだったドールハウスのように見えたのです。このたび、すてきな街、ワールドバザールに出展するにあたり、ドールハウスからそのまま飛び出したような品物を厳選しました。きっと気に入っていただけることでしょう。毎日の暮らしを楽しくするたくさんの品々を取り揃えてお待ちしています。


マーセリンからあなたへ

店主
マーセリン

(東京ディズニーランドのレストラン「ホームストア」内のパネルより)

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www.tokyodisneyresort.jp

 東京ディズニーリゾートと京都のただひとつの違いは、それが「虚構」であるか「史実」であるかであるが、裏を返せばそのフォーマットは非常に良く似ている。東京ディズニーリゾートはこの点で「観光地」として成立しているどころか、「観光地内観光地」のようなポジションを持つ。

今回取り上げた東京ディズニーランドのショップ「ホームストア」では、上記のようなディテール(いわゆるバックグラウンドストーリー)に則って様々な写真や手紙が飾られており、実際に家具やキッチン用品を販売している。

 

東京ディズニーリゾートと「観光・旅行の本質」

金閣寺のキーホルダー問題」に答えを!

家族や友達、カップルで訪れるディズニーについて、これを「金閣寺のキーホルダー問題」に対する第二の解答と言い換えることが出来る。そこで誰とどんな楽しいことを体験できるのだろうというところが本質にある。行く場所が東京ディズニーリゾートであることはさして重要ではなく、あくまでお楽しみのためのツール、或いはフィールドにしか成り得ない側面があるのだ。

「ディテール」「そのもの」はどれほど重要か?

先に紹介したように、京都と東京ディズニーリゾートは似ている。それは「史実」であれ「虚構」であれ、そこに物品のディテールを求めるからである。然し、観光とは必ずしもディテールを必要とするものではない。清水寺建立の発端となった賢心について、清水寺を訪れるどれだけの人物が理解しているだろうか? 旅路を終えてから、どれだけの人の記憶に残るだろうか? こうした問いはそのまま東京ディズニーリゾート旅行を形作るものとなる。ホテル・ハイタワーの創立者ハリソン・ハイタワー三世について、アトラクション「タワー・オブ・テラー」を体験するどれだけのゲストが理解しているだろうか? 彼の持っていた偶像のシリキ・ウトゥンドゥという名前は、ゲストのどれだけが覚えているだろうか?

多くの観光客が、こうした背景知識なしに京都を訪れているし、多くのゲストが、こうした背景知識無しに東京ディズニーリゾートを訪れている。それは別段悪いことではなく、「観光・旅行とはそういうもの」なのだと思う。彼らは別段、正に「背景知識は関係ない」とそう思っているわけではないだろう。「背景知識」を必要としていなくても、「背景があること」を必要としている場合は大いに有り得る。京都と東京ディズニーランド・シーが似ている理由はここにもあって、こういう点から「観光・旅行感」を醸成しているのである。

独りディズニーの楽しみ方

多くのゲストが「独りディズニーは恥ずかしい」と考えてしまうのは、東京ディズニーリゾートは一般に、友達や恋人、家族と訪れる場所に過ぎないからであることは冒頭にも示したとおりだ。然し、そうした過去の経験に依れば、東京ディズニーランド・シーを訪れるときに重要視されるのは「いつ」「だれと」「どうして」行くかであって、「東京ディズニーランド・シーに行くこと」ではない(一切関係ないということではない)。そして、往々にして、こうした先入観が「独りディズニーの楽しさがわからない」要因と成り得るのだ。

私が思うに、独りディズニーとは「金閣寺のキーホルダー問題」に対する第一の解答のことであろうと言い換えることが出来るのではないか。Dオタの最終的な目的は「東京ディズニーリゾートの摂取」であり、本質的に物品そのものを希求する行為である。それは、京都で販売されている金閣寺のキーホルダーを金閣寺への興味で購入するのと同値である。

独りディズニーとは、東京ディズニーリゾートそのものをまるごと楽しむ術である。京都に行く前に神社・寺院についてサーチしていくように、各施設の背景や人物をじっくりと調べていくことが出来るのが「独りディズニー」だ。京都に修学旅行で行ったとき、自分の行きたい場所に行きたいように満足に行けただろうか? 確かにあれはあれで楽しかったが、やはりいき残したところのひとつやふたつあるだろう。そういった場所も体験できるのが、「独りディズニー」なのだ。好きなキャラクターと好きなだけ同じ時間をすごすことが出来るのもまた「独りディズニー」だ。

 

おわりに

本記事執筆にあたっては、筆者個人の主観が色濃く出た信憑性の薄い記事となっていることと察する。「ディズニーランドにカップルで行くと別れる」程度の、甘い都市伝説だと思ってお読みいただけたら幸いである。

ただひとつ、間違いない事実として伝えたいことがある。それは「独りディズニーは本当に面白い!」ということ!!!

ディズニー映画を、パークを愛する者よいざ行かん。「独りディズニー」はいいぞ!!

*1:Disney Fast Pass/ディズニー・ファストパス/アトラクションに短い時間で入れる予約システム

*2:Priority Seating/プライオリティ・シーティング/予約のこと